えくぼ先生5時間目
ボックス・アート(私の居場所)
box art
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えくぼ先生の参考作品 |
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「外と中の境界線」
私はみんなと同じ、高2まで佐賀で育ちました。団地の4階からはだだっぴろい佐賀平野が見渡せます(佐賀は地盤がゆるいので高いビルがまったくありません。雲仙普賢岳が噴火したとき、天気の良い日には南のほうに山の形、煙の様子が伺えるくらい)。
ベランダの大きなガラス越し、私は何にもさえぎられない空とひかりは楽しみます。
高い塔に閉じ込められたお姫様のように・・・。そこは時間が止まり、そこにいれば誰に傷つけられることも、煩わされることもありません。外であり、中でもある。外でも中でもない、境界線。さびしいときもあるけどこれが私の居場所です。
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制作の進め方 |
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※一ヶ月前に授業の予告、材料収集を行せます。
・ベニヤで白い箱を作ります.
・その箱の中に集めた材料をつけたり、色を塗って出来上がり.
・制作後、制作意図を書かせて、鑑賞会をしました。
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えくぼせんせいのコメント
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左のプリントを配布したよ.材料やテーマはこれを参考にしてね.
この授業の観点は「既製品も美術の立派な素材である」というところね。
ですから材料収集ができなければ始められない授業だから、先生にとってはそこがネックだったよ。
実際材料を持ってこない生徒がいたけど、全体的にはいつもと違う、なんか自由な内容にみんな楽しそうに取り組んでたよ。
授業は、高校生で全部で(鑑賞会など含めて)、16コマぐらいかな.
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生徒作品 |
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「朱の矛盾」
私が表現したもの。不安定な孤独。その中で、ひとりの絶え間ない欲求を、ひとりで片付けてしまおうとする葛藤。そこで産まれる様々な矛盾。私がひとりになると考えること。
これら、つかみどころのない想いを1つの箱の中に表現するために、私は「あか色」を駆使した。そして、物を宙に浮遊して見えるように配置した。「あか色」で1番に思い浮かんだのは、ばら。また、そのばらを金網でおさえつけることによって、どうしようもない感情を表した。
また、今回のテーマは「私の居場所」。私の居場所には、「明」も「暗」もある。それを表しているのは、バックの白と黒のドット柄だ。
アイディアスケッチ通りの、イメージ通りの作品に仕上がったので、本当に良かった。 |
「萌子WORLD」
「萌子」この作品を一言で言えばこの言葉だ。どの材料一つをとっても私自身を表している。しかしそれは、全てではなくとも見る人自身にもあてはめることはできるだろう。
今現在、決して無限に広がっているわけではない自分。だが見方を変えればこれから先、無限に広がる世界を又夢を表すのが鏡。そして義務などのレールを一歩はみでてその世界を見つめている私。見ようと思えば見える他人の世界(又私の世界)。それに目をやるレールの上の私。正義や常識は一本の白い糸。それは私の世界をかこんでいる。そして大人という時期を目前に心の落ちつきを持ちはじめたところを色で表してみた。
きっと誰にでもあるだろう自分の世界を、私は私なりに表すことができた。決して暗い所はない。むしろ明るい私の世界を見る人に解ってもらえれば・・・と思う。
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「成長との代償」
自分がこの作品の中で表現したかったものとは、過去(小学生の頃)に友達と日暮れまで遊んでいた頃のことです。
なぜこの時期を選んだのかというと、このころが一番楽しくて一日がとても短く感じていたからというのと、とても多くの失敗をして、その中で自分が成長したのもこのころだったと思うからです。
自分がこの作品に時計を三つもしようしたのは、あのころは、時が進まなければいいと思えたことやいろいろな失敗により壊れた時を表現したかったからです。さらに背景の夕暮れどきを描くことによって、このときの時が進んでほしくない想いが強くなるのではないかと考えたからです。
あとのビー玉やミニ四駆の部品は、流行を表すと同時に、作品全体のバランスをとるために散りばめてみました。
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「懐旧の景色」
自分の居場所と初めてテーマを聞いたとき、真っ先に浮かんだのは、小さい頃からずっと好きだった坂の頂上です。ここから見える風景の特に夕焼けが格別で、水彩にしたり銅板にしたりと色々な作品に映しました。だんだんと色を変えていく空か町並みにいつ見ても何度見ても圧倒されます。懐かしさと物悲しさで何も考えられなくなる様子は、海をながめているときに酷く似ている機がしていました。
海と空の相対するものを一つにするという作品を作ったのは初めてでしたが、自分らしさをこめつつそれなりに表現できたのではないかと自負しています。題材はむずかしいものでしたが、とても楽しかったです。
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メガネ先生の授業の裏を読む |
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ボックス・アートのおもしろさは、自分の好きなものや世界を小さな箱にパッケージングすることです.一見関係ないものが、自分の世界では同列になり、こどもの机の引出しのように他人には分かりづらい不思議な世界を作ることがおもしろいわけです。「私の居場所」というテーマは、ボックスアートを作る際に、分かりやすいテーマだったと思います.
コラージュやアッサンブラージュで大事なことは、「絵の具と筆で描くように物を置く」ことです。自由にものをならべればいいと言うものでもないので、注意しましょう.
材料は好き勝手に集めればいいというわけでもありません。自分だけが価値がある、面白いというものをしっかり考えさせて集めさせましょう.「自然のものだけ」「キャラクターものや芸能人の写真はだめ」といったふうにテーマを絞らせてもいいと思います.
その先生ならではの参考作品をつくると生徒も興味と意欲を抱くと思います。
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